Vertex Illumina (Vertex Illluminataとは別製品です)は現在ハイエンドユーザー用のLEDシステムライトです。もともとIlluminaLEDには様々な機能がついてきていましたが、上級アクアリストの要望をかなえるべく、パソコンからワイヤレスでの制御が可能になりました。スマートフォンなどのガジェットでのアプリを含め、LEDライトの評価にはソフトウェアの占める割合がかなり大きくなってきているので、そのソフトウェアの観点からレビューをしてみたいと思います。ソフトウェアが様々な機能、進んだオプションを備えている割にはセットアップ自体は簡単です。
Vertexダッシュボードをダウンロードしてインストールし、起動するとVertexライトに接続するスプラッシュ画面になります(ダウンロードはVertexホームページから可能)。パソコンへのワイヤレス接続はUSBドングルを介して行います。このUSBアダプターはVertex社でV-linkと呼ばれていますが、手持ちのパソコンのUSBポートに挿すだけです。ただこのドングルとライト間で行われる通信がノイズに邪魔されやすいようで、さまざまなワイヤレス通信が存在する環境ではライトまでかなり近づかないと信号が届かないようです。ラップトップパソコンを使うのが実際的のようです。とは言えいったんつながってしまえば、ダッシュボード内のボタンをクリックして開始するだけです。
Vertexダッシュボードソフトウェアは5つのタブからなり、summary (概要)、day programing(日中プログラム)、moonlight program(月光プログラム)、special setting(特別設定)とtemperature control(温度調節)があります。上の画像にあるように基本的情報(シリアルナンバー、日付、ソフトウェアバージョン、言語とファンコントロール)がsummaryには含まれます。またこのsummaryには電気消費量の計算機まで含まれており、ライトが消費する電気代まで計算することが出来ます。住んでいる地域の電気代(kWh)を入力すると月々の電気代が表示されます。ライトは水槽に不可欠なアクア機器、電気代はいつも気になるので、非常に便利なツールと言えます。
さてday programmingタブはメインのライトスケジュールが制御されるところとなります。カスタム度によって変わりますが、設定の選択が無数にあります。このエントリの一番上にある画像にあるように、グラフやライトの強さをいじらずにあらかじめ設定されたプリセットですぐに使うこともできます。もしくは自分自身の好みに合わせカスタム設定で決めることも出来るようにもなっています。
カスタムモードはビギナーの人のみならず、エキスパートの人のカスタマイズ性にも対応します。照明スケジュールの様々な面の制御を可能にします。まずこのカスタムモードには各色のLEDの最高照度、オン/オフのスケジュール、オン/オフの際のramp(徐々に明るく/暗くする)の設定をするところからはじまります。つまりユーザーの大部分には、ある時間になると徐々にLEDが明るさを増してゆき(ramp up)、数時間は一定の明るさを保ち(daylight)、そのあとは徐々に暗くして(ramp down)設定した時間に消灯となるセッティングが現実的でしょう。
一方でエキスパートモードではカスタマイズ性の本領発揮です。カスタマイズモードのように開始/終了の点や照度を選んだりするのではなく、エキスパートモードは特徴的です。というのも、例えば青のLEDを少し下げて白を真昼に数時間だけあげることが出来たりするからです。また一度だけでなくこのピークを三度行うことも可能だったりして、つまりほぼなんでもありとなってしまうわけです。
しかしこの数回ピークを行うという設定はすこし面倒だったりするのも本当です。そこで雲の行き来、その頻度、長さ、落雷の頻度などなどをパーセント(頻度)で設定するという非常に便利な機能もあるのです。
またこれらの他にもまだ機能はあります。非常に簡単に月の満ち欠けをしミュレートできます。最大/最小の値を入力するだけであとは内蔵のソフトがシミュレートを完了してくれるようになっています。もし月光なしでいきたのであれば、もちろん真っ暗にすることも出来ます。最後の選択タブではライト自体の内部温度を制御/モニターできるようになっています。
総括としてVertex Illuminaのダッシュボードは非常にしっかりしたソフトウェアだと言って良さそうです。他にワイヤレス機器のある環境などでのV-Linkの信号の届く範囲が短かったのは非常に残念ですが、いったんつながりさえすれば、ソフトウェアへの影響はありません。バグが完全に無かったかと厳密にいえば違いますが、非常に目を凝らして探さなければ、ライトを設定する上では何の問題も見つかりませんでした。水槽用のライトに必要/要求される機能は十二分に含まれていると安心していって良さそうです。