Zac Forsman氏とその同志の方が、最近サンゴの成長と水流、光、そして人工餌の関係について調査した論文を発表しました。養殖珊瑚をいかに効率よく成長させるかが1つの大きな目的のようです。実験に使用された珊瑚は、ハワイに生息するMontipora capitata, Pocillopora damicornis, Porites compressaだそうです。
こういった調査結果は、一般のアクアリストに非常に興味深いものだとおもいます。
初めに、光と水流についてです。試験したサンゴの種で、幾つかのサンゴは、強光に水流弱めでも適応できるようですが、幾つかは適応できないようです。この調査論文には、水流を強めることで「光障害」をこのMontiporaで緩和できるとあります。このことは、ミドリイシにも当てはめることができると考えます。光障害が起きているサンゴには、水流を強くすることで対処できるかもしれませんね。「Portiesに関しては、強光・水流弱の環境でも一番成長が早かったですが、M. capitataの場合、一番最低の結果となりました。・・・水流を強くすることでM. capitataの白化の確率を減らすことができます。これは以前の光障害に関する論文で書かれています。(Finelli et al., 2005; Nakamura et al., 2005). これは、放射照度が水面が波打つ事で減るため、サンゴの表面で行われているガス交換が効率よくなるため、サンゴ周辺の温度を下げるため、など色々な要因が考えられます。」
サンゴへの餌食ですが、非常に興味深いものとなっています。「今回の調査では、市場に販売されているサンゴ用の餌では今回実験に使用したサンゴには成長に関して大きなメリットは見られませんでした。サンゴの重量などを指標とした成長度を見ると、現在アメリカで販売されているRoti-Feast, Reef Chili ,Reef-Roidは、M. capitataとP. damicornis に対して、平均的な成長度を示しました(Fig 4参照)。少し高価な部類に入るOyster Eggsに関しては、前者の餌と変わらない結果となりました。残念ながら、MicroVert, MarineSnow Plankton Diet, Phytoplan, Salifert Coral Foodに関しては、これらのサンゴに対して同じような結果は得られなかったようです。
サンゴのポリプの大きさや餌の大きさなどにもよりますので、一概にサンゴ用の人工餌がすべてのサンゴに大きな影響がないとは言えないとは思います。